「あ、バナナムシ」
12月に入った森の活動で、ある子が言いました。
視線の先には、落ち葉に止まった鮮やかな黄緑色の虫がいます。
確かに、まだ熟しきっていないバナナのような色、形もそれっぽい細長い虫です。
虫には、正式名称の他に色々な俗称(あだ名)がつけられ、むしろそちらの方が有名な場合もあります。
たとえば、「便所コオロギ」「へっぴり虫」「雪虫」など。
正式な名前は分からなくても、「ああ、あの虫かな?」となんとなく姿は思い浮かぶのではないでしょうか。
誰が名付けたかバナナムシもそんなあだ名の一つ。
日本全国にいて都市部でも見られるので、
名前は初耳でもどこかで出会ったことがあるのではないでしょうか。
図鑑にのっている正式な名前は「ツマグロオオヨコバイ」といいます。
10文字の長い名前ですが、2文字ずつ分解していくと、「端っこが黒くて大きな横に這う虫」となります。
名前を知ってから見直してみると、確かにはねの後ろの先が黒いことに気づきます。
この部分が、ツマグロ。また、頭にも黒い点々模様があります。
横に這うというのは動きの特徴です。
ヨコバイという昆虫のグループがあり、その中で大きい種類なので「オオ」です。
といっても、1cmよりちょっと大きいくらいなので感覚的には小さな虫です。
バナナムシの食べ物は草などの汁。針のような口を草の茎や果物に挿して汁を吸う姿はセミに似ています。
そんな所を見つけて近づくと、バナナムシはささっと移動して後ろに回ってしまいます。
その時の動きがまさしく「ヨコバイ」の名の通り、カニのような横歩きなのです。
とはいえ横にしか歩けないということはなく、普通に前後に歩くこともできますし、
バッタのように跳ねることも、はねを使って飛んで移動することもできます。
バナナムシは、成虫で冬を越します。
テントウムシのように一か所にぎっしり集まることはなく、
一匹ずつもしくは結果的に同じ場所を選んだ数匹が落ち葉の下や朽木の隙間に潜っています。
冬に落ち葉遊びをしていると、ぽろっと出てくることも。鮮やかな色なので目につきやすい。
割と寒さには強いようで、12月でも日差しのある暖かい日は活動している姿を見かけます。
12月始めのかぷかぷでも何匹も森の中を飛んでいました。
3歳児でも知っていた「バナナムシ」。
あだ名には地方性があることが多いですが、日本全国どの程度通じるのでしょうか。
知り合いがいたらぜひ聞いてみてください。
さかでぃ
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【さかでぃ:プロフィール】
自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。
幼少期は虫捕り少年。
大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で
科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。
現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。
(次回は、年明けから更新予定です!おたのしみに♪)
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