ドングリコロコロ
秋冬のお山はみんな探し物に夢中。
「何を探しているの?」と聞くと、元気に「ドングリ!」という声が帰ってきます。
ドングリは何故こうも子供達を虜にするのでしょう。
手にちょうど収まる大きさ?落ち葉に隠れている宝探し感?宝石のような色ツヤ?
それとも、楽しそうな言葉の響きでしょうか?
ドングリといえば玉子型の実に帽子が付いているのを思い浮かべると思います。
どれもブナという木の仲間で、日本には22種類あります。
その中には、あまりドングリっぽくない形のものも。
実は、イガイガのクリもこの仲間。
実は、ドングリを漢字で書くと「団栗」です。
かぷかぷで行く場所でよく見られるのは、コナラという木のドングリ。
クヌギと並んで、夏には樹液が出て昆虫が集まる木として有名です。
コナラは、薪や炭の材料、キノコのホダ木、
葉っぱは堆肥の材料として昔から人々の生活に馴染み深い木でした。
だから、人里近い森では今もよく見られる木です。
今の時期は、コナラも紅葉しています。
赤や黄に変わった葉っぱは、透明感のあるモミジの紅葉とはまた違った趣がありますね。
また、このコナラの葉っぱは紅葉した後も落ちにくいのが特徴で、
葉っぱは次第に茶色くくしゅくしゅになって行くのですが、
冬の間もそれなりの量の葉がそのまま木に残っています。
その枯れた葉っぱに風が当たると、カサカサと「鳴る」ので「ナラ」という名前がついたという説も。
葉っぱが落ちにくいとはいえ元々の葉の量も多いので、木の下には落ち葉がいっぱい。
その中にドングリが埋もれています。
森では、ネズミやリス、カケスといった動物たちも落ち葉をガサゴソかき分けドングリを探しています。
もちろん、彼らは食べるために。
私たちもいまでこそあまり食べませんが、稲作が伝わる前の大昔は人間にとっても貴重な食料でした。
ドングリを探したくなるのは、本能に刻まれたかつての記憶かもしれませんね。
ところで、見つけたドングリを取ろうとすると、
地面に引っかかったような感触でうまく取れないことがあります。
そういったドングリはよく見ると割れ目が入って根っこが出ています。
実は、ドングリは地面に落ちてしばらくすると根っこを出すのです。
根っこが出たら葉っぱも出てくるのかな?と思いきや、葉っぱの出ているドングリは見つかりません。
根っこだけを伸ばして冬を越し、葉っぱは春になってから開くのです。
根っこを出すのは、土の上に落ちて水分を十分に吸収できたドングリ。
良い条件の場所から動かないように体を固定し、春まで乾燥しないように水分を得るためなのです。
良い場所に落ちることができなかったドングリは根っこを伸ばすことができませんが、
それは動物たちの冬のごちそうとして森の営みに組み込まれます。
森でドングリを拾う時は、根っこが出てきたものは次のドングリを作ってもらうために、
中身の入ったドングリの半分は森の動物たちのために、そのままにしてあげてくださいね。
さかでぃ
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【さかでぃ:プロフィール】
自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。
幼少期は虫捕り少年。
大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で
科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。
現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。
(次回は、12月15日に更新予定です。おたのしみに!)
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