ぽこぽこ、にょきにょき。
雨上がりの森には地面からたくさんのキノコが生えています。
赤いキノコ、白いキノコ、茶色いキノコ、色はさまざま。
形も普通の傘の形はもちろん、まんまるや平べったいもの、糸のように細長いものも。
今回、紹介するのはそんなキノコの一つ。
大きさはマッシュルームくらい、色はくすんだ白から薄い茶色で地味な感じ。
形はぷっくり丸くて、細かいぶつぶつが全体にあり、時々真ん中にへそのような穴が空いている。
白っぽくて穴がないものは触ってみると、ぷにぷにと弾力があって固めのマシュマロみたいな感じ。
でも、茶色っぽくなってへそみたいな穴ができたものを触ってみると――、
ぽふっ
キノコがぺこんと凹んで、中から茶色い煙が飛び出します。
ぽふっ、ぽふっ、ぽふぅ
楽しくなってつい何回もツンツンしてみたくなります。
この煙は胞子。昔の人はこれを埃が舞う様子に見立てて、このキノコを「ホコリタケ」と名付けました。
胞子はキノコにとっては種のようなもの。
胞子が飛んでいった先で新たに菌糸が伸びて、いずれキノコができます。
みんながよく知っているキノコは傘のような形をしていて、
傘の裏側のヒダヒダから胞子を落とし、風や雨水の流れに乗せて遠くへ行きます。
それに対して、成熟したホコリタケは中が袋のようになっています。
外からの刺激で袋が凹むと、その中に溜まった胞子が空気とともに舞い上がるしかけです。
さすがに深い森の中にはつついてくれる人間たちはいませんが、
代わりに動物が踏んづけたり、大きな雨粒が落ちてきたりした時に、胞子を舞い上げることができます。
しばらく森を漂い、ちょうど良い土の地面に落ちた胞子はまた成長していきます。
みんなのツンツンにホコリタケは、「しめしめうまくいったわい」と思っているのかな。
でも、森から探し出して、その戦略にのっかってあげましょうか。
さかでぃ
「さかでぃの森のむしめがね」インスタグラムを始めました!
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自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。
幼少期は虫捕り少年。
大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で
科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。
現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。
(次回は、10月30日(土)に更新予定です。おたのしみに!)
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