かぷかぷで出会うと、十中八九「これなーにー!?」の声が上がる鉄板の生き物がいます。
新幹線にも似た形の黒くて細長い体、左右に黄色と橙色の目玉のような模様が並び、お尻にアンテナのような突起がついている――
みんなどんな生き物を想像したでしょう。思い描かれた絵をぜひ見てみたいものです。
そんな不可思議な想像をかきたてる生き物の正体は何かというと、セスジスズメというガの幼虫。
5cm前後のいわゆるイモムシです。
かぷかぷで遊びに行く丘陵地の原っぱや憩いの家などで春から秋にかけて出会えることが多く、これまでに何度か聞かれました。
セスジスズメの幼虫は、ヤブガラシやノブドウといった植物の葉を食べます。
これらの植物はつる植物で、フェンスやブロック塀に絡まっていたり、森の入口の低い木に絡みついていたりします。
そうした場所がちょうど目の高さですし、色が派手な幼虫なので目に止まりやすいのでしょう。
また、サツマイモやサトイモの葉も食べるので、畑で出会うこともあります。
芋掘りなんかで出会ったらちょっとびっくりしますね。
でも、こんなどぎつい見た目に反して触っても大丈夫。毒はないし、お尻の突起も刺さるほど固くはありません。
それに見ていると、小さいツメのような足で葉っぱを掴んで食べているのがなかなか愛らしい。
ちなみに、セスジスズメなど○○スズメと呼ばれるスズメガの仲間の幼虫たちは、プリプリコロコロとしたザ・イモムシな見た目をしています。
実は、イモムシというのはサツマイモやサトイモにつく害虫だったスズメガの幼虫が由来と言われています。
サツマイモにはセスジスズメの他に、エビガラスズメというもうひと回り大きなイモムシもつきます。
(左から、シモフリスズメ。モモスズメ。ホシホウジャク。)
そんなスズメガの幼虫たちを「あ、イモムシだ」「またイモムシがいた」と呼んでいるうちに似ている幼虫たち――アゲハチョウの幼虫など――もイモムシと呼ばれるようになったのでしょう。
なんとなく見た目が細長いサツマイモみたいだからイモムシと思っていませんでした?
さて、暑さも和らぎ、これから天高くイモムシ肥ゆる秋になります。
近所の公園や畑、ツルの茂ったフェンスなどイモムシ探ししてみませんか。
さかでぃ
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自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。
幼少期は虫捕り少年。
大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で
科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。
現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。
(次回は、10月15日(金)に更新予定です。おたのしみに!)
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